西山太吉国賠訴訟 |
その他 |
2007/4/2 |
緊急討論会「復帰35年,あらためて問う沖縄返還密約 私たちはどう向き合うべきか 〜東京地裁判決を前に〜」(2007/3/24
那覇市内)の報告 |
| 2007年3月24日(土)14時,緊急討論会「復帰35年,あらためて問う沖縄返還密約 私たちはどう向き合うべきか 〜東京地裁判決を前に〜」が沖縄大学(那覇市国場)で開催されました。
マスコミ関係者や研究者,市民ら約80名が参加し,現在の米軍再編問題や沖縄の現状と絡めて,今後この問題に沖縄がどう向き合っていくかについて活発な意見が飛び交いました。
会場では,最初に「ザ・スクープ〜沖縄返還密約35年目の真実」が放映され,事件の経緯や問題点等を再確認した上で,琉球大学の我部政明教授から,「沖縄返還密約と日本外交」をテーマに,在日米軍再編での米海兵隊グアム移転の日本側費用負担の問題点について解説がありました。
次に,藤森克美弁護士が,「法廷から見えてきたもの」と題して,提訴に至った経緯やこの裁判の意義,裁判における国の姿勢,ジャーナリズムの問題点等について基調報告を行いました。
討論会では,元新聞記者の上江洲由美子(うえす・ゆみこ)さん,ジャーナリストの森口豁(もりぐち・かつ)さん,元報道特集キャスターの吉岡攻(よしおか・こう)さんの他,現役の記者や市民らが次々に発言し,返還当時のそれぞれの体験や現在の想いを述べたり,密約は現在進行形の問題であるとの意見や,密約問題を踏まえて沖縄が今後どう行動すべきか等について活発な意見が交わされ,約4時間に亘る討論会となりました。 |
2007/3/19 |
判決前緊急シンポジウム「沖縄密約問題がいま,問いかけるもの」(2007/3/16)の報告 |
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2007年3月16日(金)18:30,判決前緊急シンポジウム「沖縄密約問題がいま,問いかけるもの」が東京都豊島区の南大塚ホールで開催されました。
当日は,琉球新報の松元 剛(まつもと・つよし)記者の司会・進行で始まり,起訴休職外務事務官の佐藤 優(さとう・まさる)氏による基調講演「すり替えられた国家犯罪」が行われました。
佐藤氏の講演後,2002年6月に密約の存在を決定的に裏付ける米公文書を発掘・報道したTBSの金平茂紀記者と,2006年2月に吉野文六元外務省アメリカ局長から日本政府関係者として密約の存在を初めて認める発言を引き出しスクープした北海道新聞の徃住嘉文(とこすみ・よしふみ)記者からこの日のシンポジウム及び判決に向けて送られたメッセージが紹介されました。
続くシンポジウムでは,原告である元毎日新聞記者の西山太吉(にしやま・たきち)さん,元「噂の真相」編集長の岡留安則(おかどめ・やすのり)氏,佐藤優氏の3名のパネリストによるメディア批判や,外務省内部の論理,現在も密約を認めない官僚の保身の論理,国家による情報統制の危険性等について,それぞれの立場・経験からの認識,危機感を交えた熱のこもった議論が展開されました。
シンポ終盤,西山さんは参加者を前に,「この裁判は私にとってのジャーナリズムである」と述べ,判決の勝ち負けに関わらず闘いを続けていく決意を表明しました。
平日の夜にも関わらず多数の参加者が来場され,開始から終了まで休憩なしで3時間に亘るシンポジウムとなりましたが,終了後,参加者からは「内容の濃いシンポだったね」,「非常に面白かった」,「聞き応えのある内容だった」等の声が聞かれました。
尚,当日の講演内容とシンポジウムの様子は,インターネット新聞の日刊ベリタ(http://www.nikkanberita.com/),雑誌『ベリタ』3号(2007年4月発売予定)に掲載される予定です。
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2006/3/6 |
吉野文六氏発言第2弾朝日新聞諸永裕司記者のスクープ(2006年2月24日)〜河野洋平外相(当時)が吉野氏に「密約否定を要請」 |
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1. |
朝日新聞2006年2月24日朝刊1面は,諸永裕司記者の署名入りで「沖縄返還,密約否定『河野氏が要請』,元局長新証言,政府答弁根拠失う」という見出しで,密約を裏付ける米公文書が見つかった2000年,
(1)当時の河野洋平外相(現衆議院議長)から,吉野文六氏は「密約の存在を否定するよう要請された」こと,
(2)米公文書発掘報道後に外務省の事務当局者から電話があり,「(報道に関して)問合せがあったら『密約はない』と否定して欲しい」と頼まれたこと,
(3)西山太吉氏が国家公務員法違反の疑いで逮捕された事件後,「メディアの流れが変わった」ので「国会で何度もウソをついていたので個人的には助かった」と報道している。
諸永記者の本記事は北海道新聞の徃住嘉文編集委員に続く,大スクープである。当時の河野外相と事務当局者が吉野氏に嘘(口裏合わせ)を要請していたこと,2002年に別の米公文書が発見された際,太田昌秀参議院議員の参院外交委員会での質問に対し,当時の川口順子外相は,「河野元外相が吉野氏に直接確かめた」として吉野氏の証言を根拠に密約を否定しているが,今回の吉野新証言で,河野外相,川口外相の答弁が嘘であること,河野外相は嘘であることを認識していたと窺われること,川口外相の場合少なくとも事務当局は嘘であることを認識しながら,川口外相に嘘答弁させていたことが明らかとなった。
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2. |
「週刊金曜日」2006年3月3日号26頁で,ジャーナリスト山口正紀さんは,「密約問題は『沖縄問題』ではない。政府が国会を騙し,巨額の税金を投入した憲法違反(国会の条約審議権侵害),虚偽公文書作成・同行使,背任の国家犯罪だ。吉野証言はそれを『自白』したに等しいのに,大手メディアの関心は『堀江メール』に遠く及ばない」と論じている。山口正紀さんの視点は,西山国賠訴訟の原告側の捉え方と同一である。
西山太吉さんは,権力中枢の国家組織犯罪の入口に辿りついたから,問題をスキャンダルにすりかえて西山さんを起訴し,国家組織の隠蔽に成功したのであった。西山太吉さんの起訴は公務員職権濫用罪に該当し,名誉毀損であったというのが,西山国賠訴訟の法律論の骨子です。山口さんの視点がマスコミに浸透定着するよう各位の一層の努力を期待します。 |
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2006/2/14 |
吉野文六氏密約認める発言、「毎日」社説が取上げる−密約は5本,その額は2億0700万ドルに切込む報道を! |
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1. 毎日新聞2006年2月11日(土)社説は「沖縄返還密約,そろそろ事実を認めたら」と題して,吉野文六氏が土地の原状回復費用を日本が肩代りした密約の存在を日本政府関係者として初めて認めたことを取上げた。
吉野発言に対する安倍晋三官房長官や麻生太郎外務大臣の否定発言に対し,社説は「しかし,米側の公文書と,日本側担当者の証言が,密約の存在で一致した。これは,歴史の事実として確定したものとしか言いようがない。政府がいくら否定しても説得力を持たない。事実は政府によって作り上げられるものではないのだ」と批判し,情報公開の必要性を説き,「政府はそろそろ事実を認めたらどうか」と結んでいる。
2. 「社説」には残念ながら,密約は400万ドルの原状回復費の件の1本だけではなく,合計5本2億0700万ドル(邦貨637億5600万円)に達しており,憲法73条3号違反(国会の条約審議権侵害)は勿論のこと,虚偽公文書作成・同行使,偽計業務妨害,背任ないし詐欺という権力中枢の国家組織犯罪に切込む姿勢が全くない。
400万ドルの入口を認めて了えば,巨大な国家犯罪の暴露につながることを恐れて,政府は否定発言を続けていると私は見ている。
西山国賠訴訟は権力中枢の国家組織犯罪の入口に西山さんが辿りついたので,西山さんを社会的に抹殺し,問題をスキャンダルにすりかえようとして起訴に至ったという原告の主張が正しいか否かが裁判の争点になっている。頁トップに戻る |
2006/2/10 |
吉野文六元局長、毎日・朝日新聞にも真実明かす〜大手紙がフォロー |
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2006年2月10日付毎日新聞は1面と2面で、吉野文六氏の取材記事を詳細に掲載している。
吉野氏1問1答の中で、私が注目する点は、
「@(土地復元の補償費400万ドル)だけがあたかも唯一の機密のように取り上げるのはおかしい、A日本が支払うことになった3億2000万ドルの中では「核ぬき」返還の費用の方がずっと大きい。大蔵省が「何とか協定に入れてくれ」と言ってきて、我々は「無償で返還すべきだ」と言ってたからびっくりしたね、B土地の復元費用、400万ドルは機密のごく一つ、小さな小さな話、一番大事な問題は核の撤去費用が入っていること。核があったのかどうか誰も知らないし、ましてやそれを撤去したのを見た人はいない。核の撤去費用だって密約ですよ。C(なぜ、日本政府は400万ドルをいまだに隠すのですかの問いに)米国が発表したんだからねえ。隠す理由は余りないとは思う。D(400万ドルの記事が)正しかったことは西山太吉さんを機密漏えいで裁判にかけたときから分かっている。機密じゃなかったら「漏えい」じゃないですよ」とある部分である。
密約締結に大蔵省もかんでいたこと、当時政府は核兵器撤去費用を7000万ドルと説明していたが全く根拠がなかったこと(現に2000年発掘の米公文書では核兵器撤去費用は500万ドルとなっている)、米国が公表しているのに日本政府がいまだに隠し続ける理由はあまりないとしている点は大きな意義がある。
今後は米公文書に記載されている他の4つの密約と協定外負担・利益供与額合計1億8700万ドルの解明を期待したい。道新がスクープし、毎日・朝日がフォローした。TVキー局、週刊誌・月刊誌の雑誌ジャーナリズムのフォローを期待したい。頁トップに戻る |
2006/2/9 |
西山太吉(沖縄返還密約)事件〜吉野文六元外務省アメリカ局長、遂に真実を明かす−北海道新聞徃住嘉文(とこすみよしふみ)記者大スクープ! |
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2006年2月8日(水)、北海道新聞(朝刊)は、1971年沖縄返還協定当時の外務省アメリカ局長だった吉野文六氏の取材内容を報道した。
1.吉野氏は@復元費用(原状回復補償費)400万$は日本が肩代りしたこと、A日本の400万$の肩代りは、佐藤栄作首相の判断であったこと、B日本政府が、円と交換して得た返還前の通貨、米ドルを無利子で米国に預託し、自由に使わせたことも明らかにした。
今回の吉野発言の意義であるが、@は、原状回復補償費400万$を日本が肩代りしたことを外務省高官として初めて認めたもので、西山刑事裁判で密約の存在を否定し続けてきた吉野氏自身を含む外務省高官の証言が偽証であったこと、密約は存在しないとした検察官の主張立証が嘘であることを証明することになる。
Aは、佐藤首相が密約締結に最終の決済をしていたことを示している。Bは、2000年発掘の米公文書の内容の一部を吉野氏が認めたということになる。
2.ところで、2000年に発掘された米公文書によると、密約の数は計5本、日本の負担は合計2億0700万ドル(沖縄返還時の為替レート308円/$に換算すると637億5600万円)に達していた。西山さんが違法不当にも有罪とされたのは、上記400万ドルに関する電信文の入手に関してであった。
しかしながら、「上記5本の密約の存在、同予算の執行は憲法73条3号(国会の条約審議権)違反ばかりでなく、刑法の虚偽公文書作成・同行使、偽計業務妨害、背任ないし詐欺に該当する権力中枢の重大な国家組織犯罪であり、西山さんの入手した電信文は、首相、外相・蔵相、外務省・大蔵省高官たちの上記国家組織犯罪の重要証拠であった。犯罪の証拠そのものたる電信文は法律の保護に値する「秘密」とは到底いえず、国家公務員法109条12号、100条1項にいう「秘密」には該らない。よって、西山さんに対する有罪判決は誤判であった」というのが、現在東京地裁で係争している西山国賠訴訟の原告主張の骨組である。
3. 刑事裁判では、1審では「合意」、最高裁では「いわゆる密約」という表現で、密約の存在を認定したにも関わらず、外務省は一貫して密約の存在を否定し続け、2000年及び2002年の米公文書発掘にも拘らず、政府は密約の存在を否定し続けてきた。
4. 今回の道新の吉野取材は大スクープである。全国紙のフォローと国会における追及を期待したい。西山国賠訴訟でも大いに活用させて頂く。徃住(とこすみ)記者(編集委員)に敬意を表します。北海道新聞全文を入手できない方々もいると思うので、新聞の原本を入手次第全文を掲載する予定です。
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シンポジウム「沖縄密約訴訟が問いかけているもの」開催のお知らせ(2005/10/6up) |
次回期日(2005年10月18日14時)終了後,沖縄密約訴訟を考える会の主催で,下記のとおり,シンポジウム「沖縄密約訴訟が問いかけているもの」が開催されます。
西山国賠訴訟に共感・共鳴される方々は是非ご参加下さい。 |
記 |
日時:2005年10月18日(火)17時
場所:上智大学図書館911室(東京都千代田区紀尾井町7−1)
JR中央線・総武線,東京メトロ(地下鉄)丸の内・南北線四ツ谷駅下車
パネリスト:西山太吉(原告)藤森克美(原告代理人,弁護士),
松元剛(琉球新報記者),粟国雄一郎(沖縄タイムス記者)
コーディネーター:田島泰彦(上智大学教授)
連絡先:上智大学文学部新聞学科 田島泰彦研究室
TEL/FAX 03-3238-3628 E-mail [email protected]
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米公文書の翻訳協力者募集(2005/9/13UP) |
次回期日(2005年10月18日)に裁判所に証拠として提出する予定の米公文書(2000年5月発掘分,B4で300枚程度)の訳文作成にご協力いただける方を募集します。
無償でのお願いとなりますが、西山国賠訴訟に共感・共鳴される英語に堪能な外務省OB,研究者,大学生,大学院生,市民の方々で,分担して協力しても良いという方のメール・FAX等での申し出をお待ちしています。勿論,協力者の匿名性は保証致します。
尚,多数のお申し出があった場合,誠に申し訳ございませんが人数を選考させていただくこともございますのであらかじめご承知おき下さい。 頁トップに戻る |
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